2005年12月29日木曜日

学校選択制について

「教育界に新風を」という抽象論からスタートして制度論を考えていくと、ひとつの方法論として学校選択制が浮かび上がってきます。

しかし、「教育=文化」論の見地から考えるなら、学校選択制は地域文化を破壊する方向にはたらくのではないかという懸念があります。


子どもの頃を思い返してみると、私のところは下町(地方都市ですが)だったせいもあって、悪ガキから優等生まで、「地域」というくくりだけで一緒に遊んでいたのを思い出します。

大学の附属小学校に通う子どもも近所にはいましたが、当然のことながら彼は地域のグループからは外れていましたね(母親どうしが親しかったために、私自身は彼とも仲よくしていたのですが)。

そうした(地域から外れた)子どもがいること自体は全然否定しないのですが、上の文脈で考えてみた時、学校選択制とは地域がそういう子どもばっかりになることを意味してるんだろうなと思いました。


学校選択制とは、極めて個人主義的な方法論なのでしょうね。学校や文化を「創っていく」という発想はみじんもなく、ただあるものの中から選択しようというわけですから。まるで自分たちが教育を買う消費者であるかのように。

その考え方の根底には、学びを学校の中で完結可能なものと捉え、人間を「個」において完結可能なものと捉える発想があると思われます。

それは確かに個人主義に間違いありません。個を取り巻く「関係性」を見ない点において。


それに対して、学校だけで学びは完結しないということをここまで述べてきました。学びには、地域の文化や家庭の文化といった環境が大きく作用するし、そこでの経験が重要な要素となるだろうと主張してきました。


もしそう考えるなら、学校選択制には大きな問題があるというべきではないでしょうか。